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2005/05/02

Matching Mole

mmole1 このアルバムは、不思議なアルバムです。大体、傑作なのか?名作なのか?と問われても疑問符ばかりです。聞けば聞くほど訳がわからなくなります。ただ、たった1つの真実は、このアルバムにはロック史上に輝く名曲「オー・キャロライン」が入っているという事です。そして、その1点だけで、私にとっても絶対に外せないフェイバリット・アルバムであるという事です。しかしながら、この名曲が最高の完成度を誇る名曲なのかと問われると、そうじゃないのですから、始末に負えません。

マッチング・モールとは、ロバート・ワイアットを中心に結成されたバンドです。プログレを語る上で絶対に避けることが出来ない重要なキーワードに、「カンタベリー・シーン」というものがあります。これは、イギリスのカンタベリー地方に重要なグループが大挙して出現した現象を総称して言う言葉ですが、その中心的な位置にあるバンドがソフト・マシーンで、その創設者がロバート・ワイアットです。その彼が「自分のやりたい音楽は違うんだ」と言ってソフト・マシーンを脱退した後に結成したのが、このマッチング・モールであるという繋がりになります。

このバンド名の由来ですが、ソフトに当たる意味のフランス語がモール(mollet/普通はモールとは聞こえないと思いますが)で、フランス語で「ソフトな機械」と言うと、それがマッチング・モールに聞こえるところから、バンド名にしたという、人を食ったような話です。ジャケットのもぐらは、もちろん英語でモール(Mole)と言えば「もぐら」だからです。この逸話は、ロバートがソフト・マシーンでやりたくても出来なかった音楽をどれだけ実現しているのかと、期待させるに十分なものがあります。

さて、このアルバムをじっくり聞いてみますと・・・ロバートが何をやりたいのか、だんだんわからなくなって来るんです。とにかく冒頭に名曲「オー・キャロライン」が出てきます。これは、ピアノを弾くデイブ・シンクレアの個性がきらりと光るバラードで、その詩、メロディ、コード、サウンドが絶妙の雰囲気を醸し出しています。サウンドの特徴はメロトロンとロバートの声に尽きます。ロバート・ワイアットという人は、今は誰でもが認めるように、その声にこそ神から授かった天性があり、その天性が初めて姿を現した記念すべき作品だと思います。しかし、ロバート自身がその事に全く気づいていませんね。なまじ、ドラム奏者としても一流の腕があるので、他の曲ではドラム奏者としてのアイデンティティーを追求し、右往左往しているわけです。一流とは書きましたが、ドラマーとしての彼は、決して他から抜きん出るほどの才能ではないんですね。もう1つの問題として、メロトロンに入れ込み過ぎている点があげられます。メロトロンはすごく魅力的な楽器で、その音色を愛するファンも多いのですが、曲を作る本人が入れ込みすぎちゃうと、必ずしも良い結果が得られない事があります。

結論から言いますと、そのロバート自身の迷走ぶりがそのままストレートに出てきたアルバムで、アルバムの出来としては、必要以上に中途半端であると考えます。それでは、このアルバムが無価値のものであるかと言いますと、それは逆で、そういう状態だったからこそ、偶然の産物として、2度とは出現しないであろう耽美な音楽に仕上がっています。やはり、私にとっては重要な、フェイバリット・アルバムの1枚に間違いありません。

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コメント

迷走ってどういうこと?

>なまじ、ドラム奏者としても一流の腕があるので、他の曲ではドラム奏者としてのアイデンティティーを追求し、右往左往しているわけです。一流とは書きましたが、ドラマーとしての彼は、決して他から抜きん出るほどの才能ではないんですね。

あんたむちゃくちゃ不遜なこと書いてるね。

投稿: kobaia | 2014/09/25 03:58

kogaiaさん、コメントありがとうございます。

記事は、私が感じた事を素直に書きました。ロバートの事は、一流の腕があるとベタ褒めで書いてあります。ただ、ジャズ界に巣食う怪物ドラマー達と比べると、残念ながらその上ではないというのは正直な感想です。この時期のロバートはまだまだ若い時代で、大成した大音楽家の姿を求めるのは、そもそも無理があるかなと思います。私の書き方でもちょっと持ち上げ過ぎではないかという気もいたします。

不遜と言うのは当てはまらないでしょう。

投稿: 管理人 | 2014/10/01 20:08

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