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2007/02/24

I / Patrick Moraz

Pmoraz1

最初にお断りいたしますが、パトリック・モラーツはスイス出身の人です。しかし、その活動ぶりを見れば拠点が英国である事は明らかですので、英国のカテゴリーの方へ分類させていただきます。

このアルバムは、実はかなり苦手なアルバムでした。LP時代当時は全く理解できていなかった、というのが正直なところです。今、思い返してみると、当時はブラジル音楽に対して全然知識を持っていなかったという点が問題だったのかな、という気がいたします。そんなアルバムが、昨年の紙ジャケCD化を機に入手し、ほとんど20年振りに耳にしたとたん、ワクワクしながら聞いてしまうフェイバリット・アルバムに変貌してしまうのですから、面白いものです。

このアルバムはパトリック・モラーツの最初のソロ・アルバムで、発売は1976年です。モラーツが丁度イエスのメンバーとして在籍していた時期で、イエスの各メンバーのソロ・プロジェクトの一環として発表されたものです。

当初苦手だった点を踏まえて、このアルバムの特徴を書いていきましょう。上記の通り、ブラジル系のラテン・パーカッションのミュージシャンが多数参加しています。当時は、ブラジル音楽は全く聞いた事がありませんでしたので、何故ブラジルなの?という疑問が最初に湧くのは当然だと思いますが、要するに、主役であるバトリックが興味を持ったからという理由以外の理由があるはずが無いんですね・・・。パーカッションがやたらに賑やかに出てきて、執拗に同じフレーズを繰り返しますが、これが単調に感じてしまいました。特にパーカッションだけになってしまう場所が何ヶ所かあり、そういう所に限って、クィーカーの人を食ったような嘲り笑うような音が登場して、印象を悪くしていました。あくまでも個人的な話ですが、このクィーカーという楽器は、本物を手に取るまでは全く謎の楽器でした。

音楽が最高潮に向かった時に、何だか能天気な明るい曲調になってしまうのも当時は理解出来ませんでした。それまでのキーボード・シンセサイザー・アンサンブルが緊張感の高い音楽をやってますので、整合感が無いように感じてしまった訳です。もちろん、今ならわかる事なのですが、その開放的な明るさはブラジル音楽の魅力そのものに通ずるものですね。当然、パトリックもそうなるように音楽の構造を計算している訳ですから、当人にとっては必然のコースだったことになります。

アルバム全体はLPのA面7曲、B面7曲が間断無く繋げられています。その、曲から曲への転換も急激に感じる部分が多かったです。もっとも、アルバム全体は"The Story of I"と題された、バトリック自身の手による物語に基づいていますので、その物語の転換に沿って曲が転換していく形になっているのが理由でしょう。いや、この物語はジャケットにきちんと書かれているんですが・・・・・ちゃんと読んでないんです。お恥ずかしいですが・・。

もう1つ問題なのは、パトリックの作風です。彼の作風の大きな特徴は、短いフレーズを並べて行く形にあるのですが、当時の私は長いフレーズを用いる曲を好んでいまして、短いフレーズを多用するスタイルに対する理解力が不足していたと思います。私自身が、当時は長いフレーズで書いていて、その後短いフレーズを用いる作風に目覚め、現在では短い方が主流になっているという流れがありますので、非常に強く感じる部分です。

また、このアルバムを最初に聞いた時期よりも後に、ラテン系フュージョン・バンドで、フュージョン流サンバ音楽の演奏したり、作曲したりという経験したりしましたので、ブラジル音楽に対する理解度が格段に増したりもいたしました。で、いつの間にかこのアルバムが理解出来る下地が整っていたという事なのですね。昨年から、今さらながら本当に楽しんで聞けるようになりました。こういう事も実際あるんですね。

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コメント

はじめまして。
音楽系Blogでこのアルバムを取り上げる人は珍しいですね。私は逆にアナログ時代本作を好んで聞き、次第に飽き、Moratzの作品(全ては聞いていませんが)全体にも
興味を失っていった口です。次作Out in the Sunは本作よりずいぶん聞きやすく、ブルフォードとのコラボ2作も悪くはなかった。でも後者はテクある人の余技でしょう。

本作が彼のその後の作に見られない特徴として、ザ---- --↑!
というオーケストレーションをシンセで模そうとして失敗したようなウィンウィンの機械的感触の音を、意図的に繰り返すあたりが耳に残りませんか?それを複数のパーカッションが追っかけます。このやり方をまねた後続のプレーヤーを知りません。面白いけど奇天烈すぎるということでしょうか? 大げさなアレンジは本人の意気込みと、あの時代特有のドラマ性が好まれた故のアレンジと思います。

でもMoratzという人は3rdまで。その3rdもやりたいことが空回りした失敗作でしょう。ちょうど3rd製作時、Moodysに既に入っておりまして、経済的に潤ってしまったせいでしょうか、尖がった作風は消えてしまいました。3rdは最後の挑戦だった気がします。そのせいか以後はマイナーレーベルとの契約に移行してます。周囲が見切りをつけたのかな?

そのためMoratzという人を思うと、アーティストに経済的な安楽椅子を与えてしまう危険も同時に思い浮かびます。

投稿: ICARUS | 2010/01/28 21:23

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