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2009/09/19

Spooky Tooth に光りを!(関連グループ編) / Widowmaker

Widowmaker1b_2ウィドウメイカーは、スプーキー・トゥースの初代ギタリスト、ルーサー・グロヴナーが、アリエル・ベンダーの変名を名乗ったまま1975年頃に自ら結成したバンドです。

ここでは、翌年に発表されたファースト・アルバムをご紹介しようと思いますが、実は私はこのアルバムを持っていません。それどころか、発表当時から現在まで日本盤は出ていないはずですし、現在の入手可能なカタログにも掲載されていません。

それでどうしてご紹介出来るのかと不思議に思われるかも知れませんが、2002年になってから2枚組のコンピレーション・アルバムが発売され、これが唯一入手可能な音源です。このアルバムには、ファースト・アルバムの全曲、セカンド・アルバムからは6曲(9曲中)、他にファーストの時期のライブ音源も収録されていますので、この異常なほど情報の少ない短命バンドの全貌を知る事が出来、同時に日本ではほとんど耳にする機会の無かったファースト・アルバムが思いがけない名作であった事も知ることも出来たわけです。

アリエルことルーサーは、第1期のスプーキー・トゥースが崩壊した後、ソロ・アルバムを1枚出し、スティーラーズ・ホイールやモット・ザ・フープルなどに参加していましたが、モットが崩壊した後、ようやくその気になったと言うべきでしょうか、自分のバンドを結成する事に着手いたしました。その時に出会ったのが、スティーブ・エリスというヴォーカリストでした。この人は、60年代の末期にラヴ・アフェアーというグループで全英No.1ヒット曲"Everlasting Love"を出していた経歴がある人で、アリエルと出合った時期には、キーボード奏者ズート・マネーのグループで歌っていたところ、そのバンドが解散になってしまったというタイミングで、自然の成り行きとしていっしょにバンドをやろうという話になりました。その時点でルーサーは何人かメンバー候補を絞っていたようで、ほどなく揃ったメンバーは、チキン・シャックやマンゴ・ジェリーのメンバーだったベースのボブ・ディズリー、リンディスファーンにいたドラマーのポール・ニコルス、そしてホークウィンドの結成メンバーだったギタリストのヒュー・ロイド=ラングトンの合わせて5人です。5人ともかなりのキャリアを持っていることになりますし、私が調べた記事の中に、このウィドウメイカーを「最後のスーパーグループ」と紹介していたものがありました。「最後」というのが適切なのかどうかに疑問がありますが、「スーパーグループ」として紹介されてもおかしくないだけの重量感は十分に持ち合わせていると思います。

その音楽は、一言で表現すればハード・ロックです。ハード・ロックのバンドを語る時は私は良くビッグ・ネイムのどれかのバンドを引き合いに出して「○○○に似ている」ような書き方をします。それで説明がついてしまうケースが少なくないんですね。しかし、このウィドウメイカーに関しましては、はたと迷いました。正直な事を書きますと、私はセカンド・アルバムは日本盤も出ていましたしリアルタイムに聞いていましたので、迷う事も無くレッド・ツェッペリンに似ていると書くつもりでいたのです。ところが、ファーストを聞いたら全然違うので驚いてしまいました。セカンドではヴォーカリストがジョン・バトラーという人に代わっていて、そのヴォーカル・スタイルが声を聞く限りはロバート・プラントのそっくりさんなのです。さらに「ド」の付くブルース調の曲が入っていたりしましたので、良い意味でも悪い意味でも単純にツェッペリンのフォロアーと思い込んでいたんです。ところが、ファースト・アルバムを聞く事が出来て、全然違うという事に気付かされたわけです。それでは、どう違うのかという事なのですが、本当に無理矢理に他の有名バンドで似た感じのものを探そうとすると、思いつくのはウィッシュボーン・アッシュなのです。私もそうなのですが、意外な感じがあると思います。それから、忘れてはいけないのは、スプーキー・トゥースのセカンド・アルバムからの流れが少なからず感じられるという事です。

もう少し具体的に書きますと、ギター・リフをメインに持ってきて、曲がドライブしていくタイプの曲調がまさしく、スプーキー・トゥースのセカンド・アルバムで聞かれる「元祖ハード・ロック」という佇まいの音楽で、アコースティック・ギターをサウンドの核に持ってきて、良く歌うギターと歌メロでじっくり歌い上げる曲調の曲がウィッシュボーン・アッシュを連想させるのです。アルバム全体はこの両方のサウンドの曲がバランス良く配されています。アルバムのトップを飾る"Such a Shame"と言う曲などは前者の典型、2曲目の"Pin a Rose on Me"は後者の典型になります。この2曲目などはいわゆるバラードタイプの曲という事になりますが、切々と歌い上げる展開がたまりません。歴史に残る名曲と言っても差支えがないでしょう。そんな中に2曲ほど気になる曲が入っています。1曲は"When I Met You"という曲ですが、これはルーサー(アリエル)のソロ・アルバムに収録されていた曲です。ソロ・アルバムの方では、ルーサーの歌があまり上手くなく、アレンジも雑でイマイチなのですが、こちらのバージョンはヴォーカル、アレンジ共に何倍にもグレード・アップして非常に聞き応えのある曲に仕上がっています。なお、ウィドウメイカーのセカンド・アルバムにもルーサーのソロから"Here Comes the Queen"という曲が採録されていまが、こちらはイマイチです。もう1曲は"Shine A Light on Me"と言う曲で、ゴスペル調の女性コーラスがバックに入っている曲で、クレジットに"Grosvenor,Wright"と書いてあります。これはルーサーとゲイリー・ライトの共作という意味になります。サウンド、メロディともにゲイリー・ライトの書く曲のイメージ通りのものです。この曲はスプーキー・トゥースのセカンド・アルバムの頃の作品であるのは曲調からも他の状況からも確かだと思います。第1期のスプーキー・トゥースの崩壊以来ルーサーとゲイリー・ライトの仲があまり上手くいっていなかったのではないかという状況証拠がいくつかありますので、この選曲はかなり意外な感じがいたしました。もっとも、ルーサーがここでゲイリーに無断で取り上げたため、2人の仲を拗れさせた可能性もあります。

先にも書きましたが、私はリアルタイムではセカンド・アルバムだけを聞いていました。今まであまりはっきり書きませんでしたが、実はこのセカンド・アルバムは期待外れでがっかりさせられていたのが真相です。今回ファースト・アルバムを聞くまでは、ウィドウメイカーというバンドは取り立てて言う事もない2流バンドだと思っていました。それが実は違っていたのだという事を確認出来たのがとても幸いな事だったと思っています。それでは何故そんな事になってしまったのかという問題なのですが、一言でいってマネージメントの失敗という事に落ち着きます。時代的にはパンクが大プレイクした時期ですので、ウィドウメイカーがいきなり受け入れられるという事はありませんでしたが、ELOやナザレスの前座としてツァーに参加して徐々に大評判になっていたのは確かです。その評判を大切にしていけば良かったのでしょうが、レコードの売り上げがイマイチという事で必要以上にジタバタと配給会社を変更したりした事が裏目に出てしまったようです。裏目といっても、その事自体は小さな失敗として回復可能なものだったと思います。しかし、その小さな失敗のおかげでメンバー間に感情的な亀裂が入ってしまった事が決定的な問題でした。セカンド・アルバムの覇気の無いまとまりの無い音楽は実はこういう背景から出てきてしまったものだという事になります。バンドはそのまま自然消滅。ルーサーは、ほとんどセミ・リタイアの状態に追い込まれるという結果になりました。この頃のルーサーの運の無さは見ていて気の毒という他ありません。

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コメント

 はじめまして。私はHappy the man について調べていましたらこのサイトにたどり着きました。British hard rock大好きでたくさんCDやrecord 所有しています。Spooky Tooth関連の情報は興味深く読ませていただきました。特に不運なグループWidowmakerはリアルタイムで注目していました。彼らのデビューアルバムを原盤(Jet)で持っています。この中でEl Doomという曲がありますが、Steve Ellisがその直前にいたバンド,EllisのアルバムRiding on the Crest of a Slumpがオリジナルかと思います。 個人的にはこの曲が最高であると考えています。この曲をカバーしているミュージシャンもいるようです。たくさん書きたいこともありますのでまた時間がありましたら連絡します。

投稿: 宮武 裕樹 | 2014/12/07 11:35

宮武さん、コメントありがとうございます。
ハード系は他人に薀蓄を垂れるほどは聞いていませんので、こういう情報は嬉しいです。
今後とも宜しくお願いいたします。

投稿: 管理人 | 2014/12/10 21:05

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