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2013/08/08

Mad Shadows / Mott the Hoople

Mottthehoople21970年に発表されました、モット・ザ・フープルの2枚目のアルバムです。モット・ザ・フープルはスプーキー・トゥースのシリーズで登場いたしましたが、分類上はグラム・ロックと言われていますし、音楽的にはブルース・ロックとロックンロールに根差したハード・ロック路線というべきで、あまりプログレの印象はありません。そんな中で、最もプログレの匂いを持ったアルバムが、この「マッド・シャドウズ」だと思います。ただし、バンドのメンバーは後にインタビューで失敗作だったと言及していますし、セールス的にも芳しくなかったアルバムですので、その意味でも失敗作ということになるのでしょう。

「ローリングストーンズをバックにボブ・ディランが歌う」、何だかウソのような、いい加減なようなフレーズですが、モット・ザ・フープルがデビュー当初に大真面目に目指していた路線です。イアン・ハンターが、ディランの歌真似を得意としていた事で出てきたコンセプトだと思いますが、ファーストアルバムでは、それを忠実に具現させていて、特に業界内からの大きな注目を集める事が出来ました。このセカンド・アルバムでは、ファーストの匂いは残しながら、ファーストで敢えて封印していた音楽性を、てんこ盛りにしようという意図が感じられます。

1曲目「サンダーバック・ラム」がある意味衝撃的な始まりとなっています。叙情的としか言いようの無い生ピアノとノン・ディストーションのギターのフレーズの掛け合いから始まり、突如ディストーション・ギターのハード・サウンドのフレーズに移行し、ハイ・トーンでシャウトするヴォーカルが絡んできます。このヴォーカルは第2のヴォーカリストで、この曲の作曲者でもあるミック・ラルフスですので、当然ではあるのですが、ファースト・アルバムとは全く違った印象を受けます。この始まり方は、よくあるものなのですが・・・・実はこのアルバム発表以前の曲の中にはなかなか見つからないのです。この曲が最初の例!とは私も信じてはいないのですが、見つからないのは仕方がありません。つまり、状況証拠としては、この曲がツェッペリンの「天国への階段」やヒープの「悪魔と魔法使い」などに影響を与えていた可能性があることになってしまいます。いやあ・・こんな事書いちゃって良いのかなぁ・・・何か忘れてないかなぁ・・・。

この曲を1曲目に持って来たのは、単なるディランのモノマネバンドじゃないんだよ!!という事を高らかに宣言したという意味になると思います。モットの大ファンであると公言していたデヴィッド・ボウイが一番好きなアルバムがこの2枚目だと言っていますし、音楽界に与えた衝撃は大変なものだったと思います。そして、その見かけの変化があまりにも大きかった事が、一般のリスナーの理解を超えていて、セールス的な不振に繋がった大きな要因だったのではないかと思います。

1曲目ばかり書いてしまいましたが、この1曲目の衝撃的な部分はまだあるのです。ヴォーカルが一段落して、一旦静まった後にインストだけで一気に盛り上がってクライマックスを形作るのですが、この部分のバンド・アンサンブル、テンションの上がり方が実に見事で、ヴォーカルが出てこないのに、グイグイと引き込まれてしまいます。このアルバムは、同じように間奏部分などでグワーッと盛り上げてしまうアレンジの曲が全7曲中4ないし5曲入っているという、とんでもなく暑苦しいアルバムなのですが、そのために、一気に最後まで聞かされてしまうという迫力があり、その聞き終わったときに疲労感、爽快感が一連のプログレ名作アルバムと共通点を感じます。いや、7曲目にイアン・ハンターのピアノ弾き語りによるバラード・タイプの傑作「ホエン・マイ・マインズ・ゴーン」が入っていますので、聞き終わった後の充足感はむしろ上なのではないかと思うほどです。このアルバムに限って言えば、ヴァン・ダー・グラーフ・ジェネレーターの傑作アルバム郡と同列に語っても良いと、個人的には思っています。

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