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2014/12/04

A Tag in the Ocean / Nektar

Nektar21972年に発表されました、ネクターの2枚目のアルバムになります。LPのA面は1曲、B面は3曲あるものの音が途切れる事の無い組曲構成という、いかにも大作主義を前面に露出させた作品です。ネクターのプログレ・バンドとしての側面が明確に顔を出したという意味で、記念碑的な作品ですし、バンドの評価を決定付けた、出世作という意味もあります。

1972年と書きましたが、この年はイエスの「危機」、ピンク・フロイドの「狂気」が発表された年でした。いきなり、5大プログレ・バンドのうちの2つの名前が登場しましたが、この2つのバンドは、ネクターのメンバー自身が影響を受けたと認めているバンドで、少なくともコード進行まで含めた曲の構成や効果音の挿入はピンク・フロイドの「原子心母」や「エコーズ」あたりを思い起させる作りになっています。また、細かいギターアレンジの部分は、スティーブ・ハウの奏法を参考にしているように見えます。ただ、サウンドそのものは、あまりイエス風ではなく、むしろ後期のアージェントを思い出させるような感じがあります。これはこのアルバムについてだけ言える特徴なのですが、かなり前面にハモンドオルガンが鳴っていて、そのスタイルがピンク・フロイドのリック・ライト流にしようとしながら時々顔を出してしまう本音のような部分がロッド・アージェントに近いという事です。要するに、単純に言って両者は近いバックボーンを持っている証拠と考えるべきでしょう。

どのビッグネームから影響を受けているかという話はともかくとして、重要なのは、このアルバムが、「危機」「狂気」という72年を代表する傑作と比べても全く遜色のない作品に仕上がっているという点です。全く同時期にそれだけの内容を誇るアルバムを世に送り出しているこのネクターというバンドの底力はもっと評価されるべきでしょう。

曲については、こう書いてくれば大体の様子は理解してもらえそうな気がします。LPのA面にあたる曲"A Tab in the Ocean"は、もちろんアルバム・タイトルにもなっている曲ですが、瞬間瞬間は比較的単純な音楽でありながら、コード進行の変化、リズムの変化によってグイグイと聞かせてしまう作りになっています。17分近くある曲なのですが、そんな長さに感じないのは、曲の展開がスリリングであり、一気に聞かせてしまうパワーを秘めている、つまりそれだけ曲作りが見事であるという証拠になっています。B面の3曲は音が繋がっていますので、やはり1曲の組曲と考えられますが、1曲めの比較的静かな部分と、2曲目以降、後半のハードに盛り上がる部分の対比が生きています。ハードと言ってしまうと、ちょっと意外な印象になるかも知れませんが、組曲の3曲目にあたる"King of Twilight"は、後にアイアン・メイデンがカバー曲として取り上げている事実があります。これは、そういう曲を作ったネクターが偉いのか、そんな曲を探し出してきたアイアン・メイデンが凄いのか、というちょっとした問題を投げかけていると思います。このB面の全体の構成は、ビートルズの「アビー・ロード」のB面にも通じますし、キャメルの「レディー・ファンタジー」や、キャラバンの「カニング・スタンツ」あたりも共通の匂いを持っていると思います。

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