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06/03/2005

PETETOK III

petetok3b

昨日(6月2日)、こういう演奏会に行ってまいりました。このシリーズは、5年前に第1回が開催され、その後隔年での開催、今回は第3回という事になります。作曲家の神長貞行氏と梶俊男氏の2人が中心になって企画制作を行っています。

曲目は、以下の通りです。

宮澤一人:ハッブル・ディープ・フィールド クラリネット+電子音
神長貞行:無限小律搖III
中川俊郎:2重性 <Duplicity>
神長貞行:匿名性の音楽II
近藤浩平:秩父古生層の旅 作品80
梶 俊男:Landscape In The Mist

1曲ずつ感想などを

最初の曲は、電子音を伴ったクラリネットソロの曲です。電子音は、CD-Rをプレイヤーで再生する方式です。最初にハプニングです。ソリストが一人で登場し、電子音をスタートさせようとした時、理由はわかりませんが、CDプレイヤーが作動しませんでした。ステージ係が急遽登場し、チェックを入れ、ようやく開始。コンサートの最初だけに、ちょっと出鼻を挫かれました。ソリストに操作させると、こういう事になる可能性はかなり高いですので、そこまで想定しておいて欲しかったです。さて、曲ですが・・・まあ、淡々と進みました。演奏者が電子音に合わせてしまう事になりますので、ライブ・コンサートではどうでしょうか。私は疑問に思います。楽譜が展示されていましたので、確認したのですが、電子音の部分も楽譜に書き込まれていました。それならば、演奏家がその場で演奏する形の方が好きですね。また、電子音が音色的に練られていないのも弱点と感じました。音色的には20年前のレベルです。

2曲目が結果的にはハイライトでした。ピアノソロの曲ですが、はっきりと離鍵の音楽です。言葉で離鍵と言うと、わかるようなわからないような感じになってしまいますが、音の塊をバンと弾いて、その後指を離す時に同時ではなく時間差を使うのです。そうすると、音が1つずつ消えていくに従って、何となくメロディのようなものが浮かび上がって来るのです。私は、1つ1つのイベント(後で演奏者や作曲家に話を聞いてみましたが、「イベント」と呼んでいました)を、本当にワクワクして聴きました。しかし、こういうものを聞き取るのは、それなりの耳が必要で、そこまでの耳が無い聴衆もいたのでしょう(せっかく来てもらった人の耳をあまり悪くは言いたくありませんが・・・)、だんだん会場全体の集中力が落ちて行くのが感じられました。この辺をどう考えるのか、というのは1つの課題でしょう。

休憩後の4曲は、邦楽器そのもの、もしくは、邦楽の構造をテーマに定めた作品です。最初の中川作品はピアノと篠笛による曲です。どこまで行っても妙に両者がかみ合わない、おそらくそれが最大の狙いでしょう。しかし、瞬間ごとの対立構造を作ろうとした結果として、雑多のものが入りすぎたかも知れません。一旦登場した印象的なフレーズが、その後に出てこなくて「どうしたのかな」と思う事が1度や2度ではありませんでした。これも狙いなのでしょうか?

次の神長作品は、ヴァイオリンとヴィオラによる作品、プログラムによりますと、笙の合竹表を基に作られているとの事です。それについては、言われなければわかりませんが、両者の呼吸と間が、日本音楽(この場合雅楽というべきでしょう)の雰囲気を醸し出しています。

後半3曲目の近藤作品は、ヴィオラと筝による曲、邦楽として考えるならばむしろモダンな作風で、今回の演奏会では初めて、拍子、ビートを感じる作品が登場した事になります。両者がユニゾンを用いるなど、協調する部分も多く、逆に対立する部分をアクセントとして、全体的に奇妙な調和の世界を作り出しています。

最後は梶作品です。ボタン式アコーディオンであるバヤンと篳篥による曲です。これはちょっと意表を突く組み合わせで、篳篥がソプラノ・サックスみたいな音色に聞こえたり、逆にバヤンが笙のように響いたりと、洋楽的な部分、邦楽的な部分の間を揺れ動くような作品で、心地よい世界を生み出していました。

全体としては、テーマを設けたのが大きな理由だと思いますが、緊張感の張り詰めたような作品が多く、集中して聞くのは少し大変でした。しかし、佳曲揃いの充実した演奏会だったと思います。

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