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08/14/2005

電子音楽な日々(6)

さて、シュトックハウゼン作曲"Nr.3 Elektronische Studien Studie II"の製作は目出度く完了いたしました。前述の通り、芸大学内のコンサートで発表される予定です。しかし、この作品はせいぜい4分程の短い作品ですので、当然の事ながら、この1曲だけでは、コンサートとして小規模すぎます。それで、メンバーの何人かがオリジナル作品を発表するという話になりました。私も、当然のように参加の意思表示をいたしました。

この時に製作したものが、私の初めての電子音楽作品になります。タイトルを書きたいのですが、やめておきます。というのも、この作品は問題作で、許可を得ていない引用が含まれているのです。それだけではなく、その引用がタイトルにも反映されてしまっています。

実は、引用という言い方は少々生ぬるいくらいです。作品は、音素材をいろいろと集めて、それをテープ編集の技法で処理したという作品なのですが、その音素材の中に、レコードやラジオから録られた音が含まれていて、知っている人ならば、誰でもそれとわかるような使い方になってしまっている、という訳です。

音素材を集めたと書きましたが、その大部分は、その頃個人的に手に入れたシンセサイザーを用いて録音したものです。やはり、学校の機材はシュトックハウゼンの作品に使われている時間が多く、思うようには使えませんでした。その中で何とかするとしたら、自宅で出来る部分はそちらで処理をするという現実的な対処しかありませんが、出来る事と言えば、素材となる音をカセットテープに録音して、学校のスタジオに持ち込むという手段だけです。当時は、まだ多重録音が可能な機材は自分では持っていませんでした。

シンセサイザーは、Roland社のSystem100というタイプのものでした。この製品は正確に言うと、6つのユニットが別々に買えるようになっていたものですが、私が入手したものは、鍵盤と一通りの機能を備えた「基本ユニット」と、追加の音源と機能を備えた「エキスパンダー」の2つでした。この2つがあれば、かなりの音作りが可能となります。鳥の啼き声のような音や、風の音や、爆発音、その他、どちらかと言うと楽器音的ではない音を中心に、十数種ほどのパターンを用意いたしました。その中で、ちょっと思いつきでFEN放送のニュース(だったと思います)の音声も録音いたしました。

このアナウンサーの声を学校のテープレコーダーに録音し、逆回転にセットし、変速つまみをいじってみたら、面白い効果が出ました。学校のテープレコーダーは、機種名の詳細を覚えていませんが、スチューダー社製のプロ用マスターレコーダーで、大きなレコード会社や全国規模の放送局が備えているような高性能(ついでに高額)の機材でしたので、変速つまみの変速の範囲はとんでもないものでした。冗談ではなく、全く止まってしまう速度ゼロから、高速早送りと同じスピードまで、連続的に使えました。

これを使って実験(実質は遊びですね・・大笑)しているうちに、曲の構想が出来てしまいました。その構想に基づいて、レコードからの音を使うことも決しました。一応著作権についても検討したのですが、学術論文ならば、引用が主にならないようにする等、ある種の条件を満たした上での引用は許されるという条項があり、これが唯一の論拠(言い訳ですね、ハッキリ言って・・)です。

曲の全体は、最初にアナウンスを中心とした部分があり、それが、だんだん早口になりトーンも高くなり(変速つまみの威力ですね)、最後に絶叫になった後、ドカーンと爆発音が来て、シンセサイザー音が狂った機械のような音を表現し、最後に鎮魂歌のような音楽が流れるという、全くベタな音楽です。いいじゃないですか!それで面白いんだから。

その切迫した部分のバックと、最後の鎮魂歌の部分がレコードからの引用になっています。曲名とかは書けませんが、ちょっとだけヒントを。2曲は全く別々の作品なのですが、どちらも、ポピュラー系の音楽で、キーボードを中心とした3人組バンドの作品です。「あの曲だろう」というコメントは無しでお願いいたしますよ(万一書き込んだ人がいても削除いたします)。著作権に絡む問題は微妙ですから、ここに書いた以上の情報が流れるのは困りますからね。

この作品は、将来に渡って公に発表することは決してありません。いやいや、原曲の著作権が消滅したら発表出来ますが、著作権者はどちらも生きているはずですし(1曲の方は実は確認出来ていません)、消滅するのは権利者の死後50年経過後ですから、仮に今死んでも50年後、今から30年長生きしたら、80年後・・・。こちらの命が持ちませんよ。この曲をどうしても聴いてみたい人はいるでしょうか。唯一の手段は、私と個人的なお友達になって(深い意味はありませんよ)、「お友達ならば聞かせても良いでしょう」というシチュエーションに持ち込むという事です。それ以外に手段はありません。

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