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11/09/2005

電子音楽な日々(9)

芸術祭が終ると、少々のインターバルの後に、後期の日程に入っていきます。その時は、特にこれと言った課題は出ませんでした。「自分でテーマを探してみましょう」という意味もあるでしょう。ただ、後期は活動が閑散としてしまうという意味の方が大きいと思います。実は、作曲科の学生は、この時期提出作の作曲をしなければなりません。私も含む3年生はオーケストラ作品、上の学年の4年生は当然卒業作品となります。卒業作品は一応何でも良いことになっていますが、電子音楽やテープ音楽は多少問題です。つまり、楽譜を提出しなければならない事になっていましたので、テープ音楽と言えども楽譜を製作しなければならなかった訳です。実際問題として卒業作品として、テープ音楽作った人は、過去にも現在にも聞いた事がありません。何でも良いという建て前はともかく、ほぼ100%オーケストラ作品と決まったようなものです。オーケストラ作品は、書くのに時間がかかります。それだけに集中しても最低1ヶ月は欲しいところですし、提出の時期が年度末の試験の時期と重なりますので、後期に入った頃には準備にかかっていなければなりません。

私の事に限って言えば、3年次の提出作品として作曲した「管弦楽のための狂詩曲」は、40段の五線紙47ページの作品で、五線紙は他の人に比べて、少しばかり小型ですが、ページ数は2倍以上になっています。楽譜の早書きには自身がありましたが、それでも状況としては似たり寄ったりと言えます。この作品は、詳しくは別項で書きますが、テープ作品を通じて獲得した手法を、楽譜上に応用してみた作品で、実験作的な意味合いがあります。

さて、そういう事で、次回のコンサートの企画は必然的に次年度以降になる状況でしたが、個人的には、けっこう録音室で遊んでいました。丁度、与えられたテーマが無かったのを幸いに、興味の赴くままいろいろな録音をしていました。

その時、製作した作品ですが、読む人に唐突感を与えるのではないかという配慮を無視してあっさりと書いてしまえば、ロック・ミュージックです。もちろん、ロックを聞く人など珍しくもありませんし、芸大生といえども同様です。しかし、私の場合はただ聞くだけというよりも、ずっと深く踏み込んでしまっていました。その頃、オリジナル作品を10曲程度は作っていたと思います。早い話、その作品のデモ・テープを学校で作ってしまったという事になります。記憶と記録にある曲は、「森の中の眼」、「冬の風鈴」、「振り返ると」、「雨の日に」、"Ballad of Toothed Wheel"、の5曲ですが、同時期の作品である「頑固な紳士」や、最初の頃の作品"Love Sketch"あたりもやっていたと思います。これらの作品は、私のポピュラー系の作品一覧に載っています。

1曲ずつの作品については別に書く事になると思います。ここでの録音は、ドラムやギター類は使えませんでしたので、ピアノにヴォーカルを重ねて、シンセサイザーを被せていく方法を取っています。ヴォーカルは一人3重唱に挑戦したりしています。しかし、これは予想外に大変でした。原因ははっきりしていまして、自分で歌う事など想定せずに、頭の中で作曲してしまったので、自分の声域をはみ出してしまっていたからです。その状況で正しい音程で歌う事がどれだけ大変なのかを身に染みて感じました。3重唱の1つの声部が音程が怪しいとなると、全体をどうまとめるか、途方も無い作業になってしまいます。録音のテクニックがまだまだ未熟で、とても他人に聞かせられるようなものにはなりませんでしたが、ここで録音の何たるかを本当の意味で学んだと思います。その意味では、貴重な経験だったと思います。

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