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10/28/2010

バンドと共に(9)

さて、ステージ・フライトの方です。大きな転換点などと書いてしまいましたが、話はすこぶる単純でヒロシ兄さん、タカちゃん、大窪くんの3人が就職が決まった、あるいは就職活動に入るという理由でバンドを抜ける事になった訳です。よくよく考えてみると、ヒロシ兄さんはコンサートの前の段階で抜けていたようにも思います。また、高校生組の3人も3年生になっていて、つまり受験シーズンに突入する時期にさしかかっていました。兎にも角にも6~7人編成という大所帯のステージ・フライトとしては、今回のステージが最後という形で、その後もしばらく活動休止状態になる事がわかっていた事になります。オリジナル曲は、前年のコンサート時よりも3曲ほど増えましたので、初期の頃の比較的単純な曲を外す形で、演奏時間1時間弱のプログラムにまとめたはずです。ただ、やはりセット・リストのきちんとした記録が残っていませんので、実際どの曲を演奏したのかが正確にはわかりません。

コンサートについてはっきり覚えている事は、上野耕路くんのシンセサイザーを使わせてもらって失敗してしまった事です。そのシンセサイザーはローランドのSH-5という名機の誉れ高い製品ではありますが、唯一ライブでは使いにくいという欠点を持った代物で、本番の照明でパネルが見えない状態になり、見事に意図していたもののとなりのツマミを回してしまい、散々な結果でした。間違えたツマミがチューニングのツマミだったのは最悪でしたね。そんなところにチューニングのツマミがある事自体が問題なのですが、それがその当時の楽器らしい所と言えばそれまでですね。

という事で話はコンサート後の事に移ります。前述のようにバンドとしてはしばらく休止という形になりましたので、私個人としては、充電期間と言うべきでしょうか、バンドで演奏するための曲を作る事を考えました。前に書きましたが、私は自分で歌詞を書く事は放棄して、詩を探すという事を心がけていました。その甲斐があり、ある情報誌のようなもののお便りコーナーで、「私の詩に曲を付けて下さい」というような投稿記事を偶然見つけました。この情報誌(?)が何だったのかはこれまた記憶が無いのですが、どうもヤマハ系の無料で配られるタイプの情報誌だったのではないかと思います。小型で薄い冊子だったようなおぼろげな記憶があります。

その時の最新号にそういう記事を見つけて、バックナンバーを見せてもらったらもう一つに同じような記事を見つけたという形だったと思います。とにかく、一度に2人を見つけたように記憶しています。一人は長谷川てるあきさんという私より年長の人で、その当時プロの作詞家を目指して活動していた人でした。名前が平仮名書きになっているのは、そういう筆名を使っていたからで、本名の漢字を忘れている訳ではありません。もう一人はK.M.さんいう女の子で、連絡を取ってみてびっくりしたのですが当時は中学生でした。この人は現在連絡の取りようがありませんし、おそらくここに名前を書かれるのは望んでいないような気がしますので、匿名にしておきます。この2人については、私の方は同時進行で話したりしましたので、どういう順だったのかよくわからなくなっています。

K.M.さんの方は、試しに自信作を2~3編送ってもらう事になりました。送られてきた詩は、「やはり」と言いますか韻を踏んでいる訳でもなく、字数やイントネーションも揃っていないという、音楽にしようとするにはかなり困難な詩でした。内容的にも、男の子(!)の立場から書いた失恋の詩ばかりで、かなり屈折していると言えば屈折しているものです。ただ、いくら空想力に長けた女の子でも、男の子の気持ちを完全に理解するのには年齢的に無理があるということなのだと思いますが、どことなく現実離れしてしまっているのは否めません。それでも1曲だけ曲を付けてみたのは「ひとりで僕は」という曲です。いろいろ言葉を置き換えたり入れ替えたりとやってみたのですが、どうしても字余り字足らずの感じを払拭するところまでは行かず、曲の総合的な出来としても中途半端な感じがしています。しかし、詩はともかくとして、曲そのものはかなり細部まで工夫を凝らした曲になっていて、その意味では今でも自慢出来る作品となっています。実際この曲は後にステージ・フライトの重要なレパートリーとしてコンサート等で演奏されています。このK.M.さんには出来た曲を楽譜にして送ったのではないかと思いますが、その後連絡を取る事もなくそのままになってしまいました。

もう一人の長谷川てるあきさんの方が私にとっとは重要人物です。最初に連絡を取った時「ポプコン詩集に作品が載っているから見てください」というお話でした。さてポプコン詩集というのは皆さんはご存知でしょうか?。私は全く初耳でした。ポプコンというのは今では知っている人は少ないと思いますが、当時は有名だったヤマハが主催するコンテスト、ポップス・コンサートの略称です。ポプコンで賞を取ってプロデビューしたバンドには、サザン・オールスターズ、カシオペア、スーパー・スランプ(爆風スランプの前身)などがいます。しかし、詩集というのは聞いた事がありませんでした。そこで、千葉のヤマハまで出向き、その頃あったLM練習スタジオのフロントに聞いてみると・・・・有りましたね。販売されているものでは無いらしく、数冊貰うことが出来ました。その頃には既に20冊以上出版されていたのですが、古いものは残っていない状態でした。中身は要するにポプコンで曲を付けて演奏される事を意図して投稿された詩を集めたもので、その詩はポプコンに応募するという前提であれば自由に曲を付ける事が出来るというものでした。

さて、念願の詩集が手に入りましたので、勇んで作曲してみたのは言うまでもありません。長谷川氏の詩のうち「もどり橋」、「5年がたちました」の2曲はかなり早い時期に作曲いたしました。当然ながら、長谷川氏以外の詩にもチャレンジしてみました。「振りかえると」、「雨の日に」、「レクイエム」、「たそがれ」という曲がそれにあたります。つまり私のポピュラー系の作品のうち、主だったものがこの時期に集中した事になります。長谷川氏とはその後も何度か連絡を取り、直接新作の詩を送られた事もあり、その中から「冬の風鈴」、「夕焼け赤とんぼ」という曲が出来ています。しかし、これらの作品は結果的にほとんどステージ・フライトのレパートリーにはなりませんでした。理由は・・・バンドのカラーに合わなかったから・・・ではなくて、翌年再開したバンドの方が、サウンドが変化していってしまったからなのです。

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