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11/26/2016

大川義行氏の想い出(11)

さて、「ムービーキッズ」の挿入歌は8曲あり、登場順に「かえれかえれ昔に」「ならずもの」「そこにあるものは」「アルバイトなんて」「秘密の稽古場」「ひとりきり」「ショック」「かすかな希望」となっています。他にフィナーレの部分に歌とダンスがありますがこれは「かえれかえれ昔に」と「アルバイトなんて」が再登場する形です。

この8曲のうち「ならずもの」と「ショック」の2曲は私が新たに書き下ろしたものです。この2曲の挿入は、もちろん大川さんのひらめきから出たものです。渡されたカセットテープには、「アルバイト」がM2と書かれていますので、リメーク前の最初のバージョンでは「アルバイト」が2曲目だったのだと判断出来ます。このミュージカルでは、2曲目で登場人物が自分たちの事を歌う、つまり一種の自己紹介をする形になっていますので、アルバイターよりもならずものの方がより相応しいだろう、という判断だったことになります。「ショック」は、物語のクライマックスシーンで、大どんでん返しがありショック!となる部分ですが、歌と踊りでビシッと決めたいと思ったのでしょう。以前のバージョンではセリフだけで構成されていたシーンだったのだと思います。私は「ならずもの」はロカビリー調、「ショック」はバラード調から始まりハードロック調へ移行する形で決めてみました。大川さんはちょっと面食らったのではないかと思っていますが、この2曲は劇団員のメンバーには大好評でした。平成生まれの子どもたちにとってはすこぶる新鮮な音楽に感じたのだと思います。

残る6曲について、一言ずつ触れていきましょう。「かえれかえれ昔に」は歌の部分は以前のままですが、本来のイントロの前に付け足された導入部分と間奏にあたるダンスの部分は完全に私のオリジナルです。これはダンス音楽を入れて欲しいという大川さんの注文があったため、テンポも拍子も違う音楽を挿入したものです。「そこにあるものは」は、ほぼ原曲通りと言いたいのですが、言葉のイントネーションやアクセントに従ってメロディをかなり直しています。原曲の通りだと歌詞が聞き取りにくいと思ったからです。

「アルバイトなんて」はかなり問題です。そもそも渡されたテープが、生演奏の録音と打ち込みと歌入りの3パターンあるのですが、それぞれ展開が違っています。展開と書くとわかり難そうな感じになってしまいますが、Aのメロディが出て→Bのメロディが出て→間奏が入って・・・という順番が3パターンで全く違っているという意味です。仕方がありませんので、3つのパターンの良いところを組み合わせて、メロディやコード等も手直しして、ダンスの出来る間奏をしっかり入れて・・と言う作業の結果、4つめのパターンを作っています。サウンドももともとあるジャジーな雰囲気を生かして、ブラスサウンドをしっかり入れたビッグバンドスタイルにまとめています。

「秘密の稽古場」は、ほぼオリジナル通りになっていますが、無駄な繰り返しを省いてスリムにした事、ピアノをゴスペル調にまとめた事、ドラムのリズムを16ビートのフュージョン風にした事、間奏にスチールドラムの音色を使ってアクセントにした事が変化している点です。「ひとりきり」は中間部分に全く新しいメロディを追加しています。それによって、セリフに節を付けただけのような印象だった曲が、ちゃんと歌の曲に仕上がっています。

「かすかな希望」は、半端にカントリー調だった原曲をきちんとしたカントリー調に変化させました。やった事はカントリーにそぐわないエレクトーンの音は全部カット、ピアノもカット、代わりにフォークギター、フィドル、ブルースハープの音色を加え、リズムをブルーグラス(カントリー音楽の一種)特有の緩いシャッフルビートに変えました。このアレンジは大川さんを大変喜ばせたのだと思います。どうしてそう思うかと訊かれると思いますが、この曲のアレンジが出来た後になってから、台本の最後の部分が届いたのですが、当初聞かさせていたあらすじとは全然違ったものになっていたからです。この曲がラストシーンに使われたのは最初からの予定ではありませんでした。しかもその前に、「このレコード何だろう?」「聞いてみようか」というシーンが挿入され(これも予定にはなかったはずです)、この「かすかな希望が」出てきて、「この曲いいね!」というセリフを言わせたりしています。これは、大川さんがこのアレンジを聞いてから「よし、これだ!」という感じで急に予定を変更した、という事にならないでしょうか。もともとメロディをはじめ曲自体は良くできているのですが、問題なのは演奏がマッチしていないことで・・・つまりカントリー音楽を良く知らない人が演奏していますので、中途半端なものとなっていたわけです。私がやった作業は、その原曲に手を加えて整理しただけなのですが、驚くほどの効果があった事になります。

他の曲についても書いておきましょう。このミュージカルは全部で30曲あります。歌の曲は10曲(2度出てくる曲が2曲あります)。他の20曲のうち、私がゼロから作った曲は11曲、原曲に使われたBGMをそのままのアレンジで使っている曲が2曲(ただし、私が再録音しています)、原曲のメロディを使って新しく作ったBGMが7曲となっています。

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