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12/27/2016

大川義行氏の想い出(21)

大川さんとばったり会ったのは、共通の知人のリサイタルの会場でのことで、9月12日の事でした。共通の知人の演奏会ですから、会場で会っても不思議ではないと言えばそれまでですが、台本書きに忙しいはずのタイミングで出て来るとは思っていませんでしたので、驚きました。それならば久しぶりに飲もうという話になり、いろいろと話を聞いた訳です。

話の詳細については、どうもここに書く事に差し障りがあるのではないかと思われる内容のものもありますので、あまり詳しくは書きませんが、要するに劇団の活動を続けられなくなった人が複数出たという事だそうです。大川さんにしてみれば、その度に配役を再考したり、台本も書き直したり、という事を繰り返す事になり、なかなか先に進まなかったという事になります。それは、私の立場から言う限りは、仕方の無い事ですので、せめて今後のストーリーの展開を、予定で良いですから教えて下さいという形で話をしました。シニア婚活ミュージカルと銘打っていましたので、結婚式のシーンで「めでたしめでたし」となるような感じで考えていましたが、そうではない事はこの時に初めて知りました。その時に「ちばの川ものがたり」の音楽を合唱曲に編作していると話したのですが、大川さんは凄くよろこんでいました。この編作は台本が手間取っている9月中に完成し、大川さんにも見てもらう事が出来ました。

台本の続きが届いたのは、月が代わった10月6日だったのですが、これからが怒涛の展開になりました。6日には、3曲目の歌詞が届きました。「おらのプロポーズ」という曲名、方言丸出し、「ビバビバノンノン」なんて歌詞も飛び出すぶっちゃけた詩で、例によって翌日には楽譜にして送ったのですが・・・・。曲調がオールドロックンロールというべきか、むしろドドンパでしたが、これが、大好評というのかどうか、大川さんから「最高に楽しい」という件名のメールが舞い込みましたし、状況から言って、大川さんにラストスパートのスイッチを入れる役目を果たしてしまったようです。

台本の続きが届いたのが10月15日、さらに24日、最終便が28日で脱稿です。本番が12月3日の予定でしたから、このくらいのペースでやってもらわなければ、劇団員もたまりませんが、それにしてもこの期間で全体の6割を書き上げたのは天晴と言うべきでしょう。シニアの劇団ですから、3曲目の歌以降は、全員そろっての歌やおどりを新しく入れるのは無理だろうという判断で、作曲が必要な歌の曲はそれまでの3曲のみ、後はBGMをいろいろと散りばめ、秋田音頭を歌う部分があり、ソロのアカペラで「愛の賛歌」を歌うというシーンを挿入して、何とか体裁を保っている形でした。その「愛の賛歌」は、最初の部分と中間部は無伴奏、後半の部分で伴奏が入ってきて、そのまま後奏で盛り上げて全体のストーリーを締めくくるという演出でした。おかげで後から入る音楽がキーが外れないように設定するのが大変でした。実際、打ち合わせで大川さんと話してして、どのキーにしましょうか?という話になって、大川さんが突然出演者に電話を掛け、電話口で歌ってもらうという事がありました。それを基準に音にしたところ、見事にずれていたという落ちが付きます。まあ、いきなり電話で「歌って」と言われていつもと同じキーで歌えると思う方が問題ですよね、深く考えるまでもなく。

で、大川さんのハイペースに付き合いつつ録音作業です。このミュージカルはここまでの経過で想像がつくと思いますが、音楽的には何でもありのバラエティに富んだ節操の無いものです。極端なものの一つは秋田音頭ですが、これは雰囲気だけで少なくとも音楽的にはあまり成功したとは言えません。秋田音頭をいくつか調べたのですが、歌の旋律以外は即興演奏と言って良く、歌無しのカラオケを作っても何の曲なのかわかりませんし、結局歌は歌、音楽は音楽で別々に、しかし同時に鳴るという状態でした。別な極端な例は、結婚式場等のロビーに流れるBGMで、これはハイドン風の弦楽四重奏曲を作曲して録音しました。ハイドン風と言っても部分的にはモーツァルト風だったりシューベルト風だったりと、その意味でも節操が無いです。大川さんお得意の「剣の舞」風の音楽というのもありました。「剣の舞」は著作権が切れていない曲ですので、原曲をそのまま合法的に使うには煩雑な手続きが必要です。仕方がありませんので、そんな感じの曲を新たに作る事になります。このパターンは以前にもあり、その時はオーケストラサウンドにしたのですが、今回はドラムとベースを強調したニューウェーブ系ロックサウンドにしてしまいました。

こんな感じで一つずつ書き始めたらキリがないですが、このくらいで雰囲気は分かってもらえそうですね。うっかり書いていませんでしたが、タイトルは「ベリーロールであなたのもとへ」です。最初に受け取った台本でベビーロールとミスタイプしてあったので、一瞬考え込んでしまった事を覚えています。ただ、大川さん自身がベリーロールについて思い違いをしていたのではないかという疑いがあります・・・・が、これは突っ込まないでおきましょう。こんな感じで、問題だらけ、事故だらけだったようにも見えますが、これが実に感動的なステージだったのです。何と言うか不思議極まりない現象だったと思います。

以上が、昨年(2015年)末、大川さんとの最後のコラボ作品の顛末になります。決して完成度の高い成功作という意味ではなく、極めて印象の強い記念碑的な作品と言えると思います。

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