02/05/2006

電子音楽な日々(12)

前回書いた部分は、4年生10月の芸術祭のところまでです。実質的には、電子音楽に浸っていた期間は、これで終了という事になります。何故かと言えば、その後は卒業作品(「交響的幻想曲」というタイトルの曲です)の作曲に没頭したからです。止せば良いのに、48段の五線紙で80ページを超える曲を書いてしまいました。これは、他の人が書く量の3倍くらいはあると思います。実は、最初の予定はもっと長い曲だったのですが、締め切りに間に合わなくなりそうで、やむなく短縮したものです。当然ながら、10月以降はこちらにかかりきりだったんですね。

電子音楽を続ける気ならば、大学院に行くのが最善の選択で、次善の選択は故意に留年するという手がありました。しかしながら、いろいろな状況が重なり、そのどちらも選択しませんでした。状況というのは、かなり錯綜していますが、「室内楽工房」という名の作曲家グループに参加し、プロの作曲家として作品発表する機会を得た事と、当時携わっていたバンド活動が軌道に乗り、今で言うインディーズ・バンドという形なのですが、プロとしての活動を始めてしまった事、の2つが大きかったと思います。

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01/14/2006

電子音楽な日々(11)

その年の夏休みは、かなり学校に通いました。前年に引き続いて芸術祭に電子音楽のコンサートをやる事になって、そこで発表する作品の製作に没頭いたしました。芸術祭に参加する事は、全く既定の方針という事で、みんなそのつもりでいたと思います。少なくとも、「やろうかどうしようか」と相談した覚えはありません。

さて、その夏に製作した作品が「ピアノと電子音による小協奏曲」という曲です。ピアノの録音自体は、春頃にやっていました。その頃から曲のコンセプトは決まっていたと思います。芸大の5階の録音室には、数台のグランドピアノがそれこそ無造作にころがっていました。その中の安っぽい1台などは、調律練習用とか実験用とか称して、調律も勝手にいじって良し、プリペアード・ピアノもOKという状態でした。このピアノは、誰かが研究用に純正率に調律したら、その次に来た人が「音が狂っている」と言って平均率に直してしまった、という逸話があるそうです。

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11/16/2005

電子音楽な日々(10)

今回は、さらりと流します。
いや、実は資料を探していたのですが、見つからなかったのです。ですから、今後見つかって詳しく書けるようになったら、書き直します。

翌年、つまり私が4年生の時、7月頃に電子音楽のコンサートが学内で開かれました。これは、前年より一歩進んで、「公開」つまり、一般の人も入場出来る形でのコンサートでした。出品者も学生(大学院生)中心よりも、中堅どころの作曲家が多く参加いたしました。前述のように資料が見つからないので、詳しく書けないのですが、南弘明氏が出品していたのは覚えています。その作品は、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」に基づいた、朗読と電子音による作品でした。しかし、正式な作品のタイトルは覚えていません。南氏のHPがあった記憶がありますので、調べようかと思いましたが、簡単な検索ではわかりませんでした。

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11/09/2005

電子音楽な日々(9)

芸術祭が終ると、少々のインターバルの後に、後期の日程に入っていきます。その時は、特にこれと言った課題は出ませんでした。「自分でテーマを探してみましょう」という意味もあるでしょう。ただ、後期は活動が閑散としてしまうという意味の方が大きいと思います。実は、作曲科の学生は、この時期提出作の作曲をしなければなりません。私も含む3年生はオーケストラ作品、上の学年の4年生は当然卒業作品となります。卒業作品は一応何でも良いことになっていますが、電子音楽やテープ音楽は多少問題です。つまり、楽譜を提出しなければならない事になっていましたので、テープ音楽と言えども楽譜を製作しなければならなかった訳です。実際問題として卒業作品として、テープ音楽作った人は、過去にも現在にも聞いた事がありません。何でも良いという建て前はともかく、ほぼ100%オーケストラ作品と決まったようなものです。オーケストラ作品は、書くのに時間がかかります。それだけに集中しても最低1ヶ月は欲しいところですし、提出の時期が年度末の試験の時期と重なりますので、後期に入った頃には準備にかかっていなければなりません。

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10/25/2005

電子音楽な日々(8)

日時の記憶の無いある日の昼下がり、録音機材を抱えて、さっそうと繰り出しました。ここで録音機材について説明すべき、という事は重々承知しております。・・・が、覚えていないんですよね。情けない事に・・。ご存知の方もいるはずですが、外国(米?独?)のメーカー製の、ポータブルのオープン・テープ用の録音機で、小型ながらプロ用としての十分のスペックを誇っていました。値段も7桁に届いていたはずです。マイクも又覚えていないんですが、野外録音用の集音の利くタイプと、ごく普通のダイナミック型とを2つ携えていたと思います。メーカーはソニーだったかも知れませんが、シュアーあたりかも知れません。学校にはノイマンもありましたが、まさかそれは持ち出さないでしょう。うっかりぶつけて壊して、「ハイ!○百万円」なんて世界はちょっと怖いですからね。

最初は、手始めに大学の中を回ってみました。ところが、これはあまり良ろしくないのですね。少なくとも音楽学部内は。ご存知の方も多いことでしょうが、音楽学部に足を踏み入れると、あちらこちらからいろいろな音が聞こえてきます。多くが、誰かが何かを練習している音なのですが、複数の楽器音やら歌声やらが雑踏のごとく、ワーッと押し寄せて来るわけで、中には何の曲のどの部分か、が明確に判ってしまうものがちりばめられていて、とてもじゃないですがミュージック・コンクレートの素材としては不適切なものばかりです。

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10/13/2005

電子音楽な日々(7)

前回書いた事までで、芸大の学内のコンサートを1つ消化した事になります。ここからは、次のコンサートへ向けての話になります。2年がかりでシュトックハウゼンの作品の制作というプロジェクトを完遂させた訳ですが、その次のお題は何かという事が当面の、そして当然の問題となります。実は、私はそれが決まった時にはその場所に居なかったようです。理由等も全く記憶がありませんが、とにかく「こう決まった」という話を先輩から個人的に聞いただけです。当時は、学部生だったので、話し合いに参加する資格が無かったという意味なのかも知れませんが、そうだったのかどうかも含めて、今では確かめようも(確かめる気も)ありません。

じゃ、問題なのは「どう決まったのか」という話になります。

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08/14/2005

電子音楽な日々(6)

さて、シュトックハウゼン作曲"Nr.3 Elektronische Studien Studie II"の製作は目出度く完了いたしました。前述の通り、芸大学内のコンサートで発表される予定です。しかし、この作品はせいぜい4分程の短い作品ですので、当然の事ながら、この1曲だけでは、コンサートとして小規模すぎます。それで、メンバーの何人かがオリジナル作品を発表するという話になりました。私も、当然のように参加の意思表示をいたしました。

この時に製作したものが、私の初めての電子音楽作品になります。タイトルを書きたいのですが、やめておきます。というのも、この作品は問題作で、許可を得ていない引用が含まれているのです。それだけではなく、その引用がタイトルにも反映されてしまっています。

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08/12/2005

電子音楽な日々(5)

シュトックハウゼン作曲、"Nr.3 Elektronische Studien Studie II"について、もう一つ続きです。

作品の1つ1つの音は、全部用意が出来ました。後は、それを最終的にまとめる編集作業になります。楽譜(前回掲示いたしました)には、時間軸が記載されています。この時間軸には、各イベント(この曲の場合はそれぞれの音の始まりと終わりのポイントになります)間の、時間が1/10秒単位で書かれています。順番に足していけば、どの音が、曲が始まって何秒後から何秒後までの間に鳴る音であるかが、わかります。当然ながら、一覧表を作成する事になりました。気の遠くなるような作業ではありますが、単純作業ですので、作業そのものが難しいわけではありません。

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07/29/2005

電子音楽な日々(4)

さて、シュトックハウゼン作曲、"Nr.3 Elektronische Studien Studie II"の、さらに続きです。ここで、もう一度楽譜を掲載いたします。

studie2

この楽譜の上部に書いてあるそれぞれの音は全部準備が出来ました。次の作業は、下部に書いてある部分、つまり、それぞれの音に必要なエンヴェロープ(音量の変化)を与える作業です。

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07/13/2005

電子音楽な日々(3)

シュトックハウゼン作曲、"Nr.3 Elektronische Studien Studie II"の続きです。

楽譜には、さらに音の製作方法が詳しく書かれています。・・・が、少なくとも、当時使っていた楽譜のコピーがあるはずなのですが、どこに仕舞い込んだのか現在行方不明です。で、細かい数字を覚えていないのが困りますが、その点は勘弁して下さい。曲自体が、1954年発表のものですので、当然ながらシンセサイザーは存在していなく(実験装置あるいは試作機としてのシンセサイザーは出来ていたかも知れません)、当時の機材で可能な方法を用いることになります。

以下は、覚えている限りの製作法の説明です。

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