Le Mani
このアルバムの録音が頓挫したのは、発売を予定していたレコード会社、トリデント・レーベルそのものが資金難から瓦解してしまったため、そのあおりを食っての事です。僅かに残された5曲が(そのうち少なくとも4曲が)、最高レベルのプログレ・ナンバーなのは、このアルバムを聞きさえすれば、万人が納得出来る事だと思います。ただ、このアルバムが録音された1975年頃は、時代がプログレから離れつつある頃で、そのおかげで他のレコード会社からは見向きもされなかったという事だったのでしょう。
さて、レ・マーニが全くの新人バンドだったのかと言うと、そうではありません。元々は、ドラムのマウリツィオ・ガッツィと、ベース奏者(このアルバムの時はマリオ・オルフェイという人にチェンジしています)の2人(?)で活動していました。ドラムとベースの2人で何をするのだ?と思われますが、他のアーティストのサポート・ミュージシャンとして活動していたそうです。スタジオでのレコーディング活動ならば、スタジオ・ミュージシャンと呼ぶ事になりますが、この2人はライブを中心に活動していたので、少し呼び方が異なる訳です。状況に応じてキーボード奏者が加わったりしていたようで、次第にキーボードやサックス奏者が固定するようになり、最後に、ヴォーカル兼ギタリストとして、クラウディオ・フッチが加わる事になり、バンドとしての形が整う事になりました。
クラウデォオ・フッチという人は、既にソロ・アーティストとしてトリデント・レーベルからアルバムを発表していた人です。ここで、トリデントについて一言書かないわけにはいかないでしょう。このレーベルは、僅かにアルバム8枚とシングル7枚を発表しただけで終ってしまった独立レーベルですが、志は非常に高く、コアなプログレ及びアヴァンギャルドの音楽の発掘に努めました。ビジネスとしては全く成立しないような状況ですが、残された作品の音楽性だけで現在でも名前だけは伝説として語り継がれています。トリデントから出たグループでは、デダルスとオパス・アヴァントラの2つが双璧でしょうが、愛すべきセミラミス、そしてここで登場するフラウディオ・フッチも、本当に伝説の中という感じですが名前が刻まれています。
さて、このレ・マーニのアルバムは、前述の通りアルバムとして録音が完成していません。シングル用の曲を録音したのではないかという考え方もありますが、曲を聴けばそうではない事がはっきりわかります。メンバーとしては、前述の3人以外の重要人物であるキーボード担当のダリオ・ピアナ、そしてその他に管楽器奏者が2人いて、計6人組みとなっています。1曲目に登場する「タランテラ」という曲が、オルガンとドラム、ベースを中心とした、ナイス時代のキース・エマーソンがやりそうなタイプのインスト曲です。もちろん、管楽器奏者がいますのでオルガンにフルートとピッコロが絡んできて、とてもスリリングな音楽になっています。ギターが何をやっているのかが良くわかりませんが(良く耳を澄まして聞いてみると、カッティングのような音やベースとユニゾンでフレーズを弾いているような音が聞こえますが、ベースに何かエフェクタをかければ同じように聞こえるでしょう)、これはフッチ加入前の曲という事なのでしょう。2曲目も同じようなサウンドで進みますが、3部構成の最初の部分では全面的にサックスがフューチャーされていて一層心地よい音楽になっています。リズム的には3・3・3・3・2・2の変拍子と呼んでも良いけど、4拍子16ビートに収まってしまう定番のリズムを用いていて、それなりの意欲を感じさせます。2番目の部分ではテンポが変わりフッチのヴォーカルが入ってきますが、彼のヴォーカルは、少し抑えた歌い方が特徴で、声質的にはニュー・トロルスのヴィットリオ・ディ・スカルツィあたりに似ているでしょう。しかし、ヴォーカルを入れたトータルなサウンドでは、むしろPFMを思い出させます。3番目の部分はまたテンポが変わって、今度はフルートを中心に進みますが、フルートという楽器のせいでしょうか、ますますマウロ・パガーニ在籍時のPFMにイメージが似ています。3曲目は多少ポップス調のナンバー、4曲目は間奏曲的なピアノ・ソロの作品。ピアノの音色が録音としてかなり問題がありますが、まだデモの段階だったと考えるべきでしょう。5曲目の「ラ・カーサ・デル・ヴェント」という曲が、ピアノとアコースティック・ギターをバックに歌われるバラードで、ヴォーカルの掛け合いもあり、フルートの秀逸なソロもフューチャーされていて、印象的な曲に仕上がっています。この曲1曲だけでも他のイタリア・プログレの傑作陣と十分に対抗できるでしょう。
収録曲、収録時間が少なくてその意味では物足りなく、割高感があるのは仕方がないのですが、未完成作として葬るにはあまりにも惜しい作品郡である事は確信を持って言えます。発掘し、発売を敢行したアルカンジェロに感謝、拍手です。
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コメント
板谷藍子さんは経歴詐称をしています。
https://www.wantedly.com/id/mary_tuba
投稿: | 2026/04/24 14:50